太陽光発電 補助金の心をつかむための施策
温室効果ガスは数十年から数世紀にわたり大気中に滞留し、大気および地球表面の温暖化をもたらしている」との内容も、強制力ある新たな枠組み作りへの求心力を生み出した。
この間、精力的にベルリンマンデート履行のために活動したのが、「ベルリンマンデートのためのアドホックグループ」という組織だった。
NGOも参加を認められたこの組織が、1995年8月からあわせて9回の会議を開催し、途中1996年7月の第2回締約国会議で「法的拘束力のある数値目標を持つ議定書を作る」という閣僚宣言をまとめあげることに貢献した。
この過程で、それまで態度を留保していた米国が初めて「法的拘束力のある削減目標を設定すべき」と提案し、それにEU諸国が同調し他の先進国にも同意を迫ったという経緯があったことは特筆に値する。
米国もいったんは「法的拘束力のある削減目標を設定すべき」という主張だったのだ。
第2回締約国会議で、議定書を討議する第3回締約国会議を日本の提案により京都で開催することが決定される。
第2回締約国会議では、新たな目標については、EUが支持する「西暦○○年までに○○年より○%削減」といったような一律の削減案か、オーストラリアなどが主張する各国の事情を考慮した差別化目標案かの2つの代替案が明確になっていた。
このとき、日本は、必ずしも一律削減案を否定するものではないとしつつ、GDP当たりのCO2排出量に応じた差別化目標を提示するにとどまっていた。
1997年10月には第3回締約国会議開催前の「ベルリンマンデートのためのアドホックグループ」最後の交渉がドイツのボンで行われたが、議定書案のなかでも手続関連条項が部分的に固まったにすぎず、排出削減目標値や政策・措置等の本質的な部分は、すべて第3回締約国会議に先送りされたのは事実である。
ただし、発展途上国に新たな義務は課さないとベルリンマンデートには明記されていたことには留意したい。
米国が第3回締約国会議で「今後排出量の急速な伸びが予想されている中国やインド等の主要途上国にも、排出量に関する何らかの数量目標設定が必要である」として、第3回締約国会議の交渉で発展途上国にも追加的義務を議論するよう求めたのは、会議開催の前年にあたる1996年7月、「発展途上国にも何らかの義務を設定していない議定書には批准しない」というバード決議が上院で可決されたことによる。
バード決議は、賛成95反対0という圧倒的なものであったため、C政権もこれを尊重せざるを得なかったのである。
したがって、米国が「削減義務のない国がこれだけあるのは不平等」とはいっても、それは当初の合意を、後になって覆した主張である点は記憶される必要があろう。
では、次に日本の産業界が主張する「過去の実績を考慮しない数値目標は不平等」という点はどうだろうか。
たしかに、第3回締約国会議の数値目標は会議が開催された10日間の問にも、大きく動いた。
会議前、米国は「1990年比で安定」、ヨーロッパ「1990年比15%削減」、日本は「1990年比5%削減」を提案していた。
実際、第3回締約国会議が始まって、ヨーロッパ、米国、日本のハイレベル協議となった。
対象ガスや吸収源の議論がなかなか決着しないなかで、議長が提案したのが、1990年比でヨーロッパ8%、米国5%、日本4.5%案である。
しかし、これに対しては、ヨーロッパが、排出量の多い米国に寛容にすぎると反対し、米国は、吸収源、排出権取引、共同実施が認められるのであれば削減率の引上げを許容するという妥協案を提示した。
日本もこれに追随し、1990年比でヨーロッパ8%、米国7%、日本6%削減の数値目標で決着したのである。
米国はこの交渉の過程で、削減の数値目標7%を受け入れる代わりに、「対象ガスを6ガスとする」「ネットでの計算に吸収源を含める」「単年目標年ではなく2008年から2012年までの5年間で排出できる量を決めて、その5年間のなかでは増減があってもかまわないとする複数年目標期間を採用する」「排出権取引、共同実施、クリーン開発メカニズムを容認する」という数々の主張を認めさせることに成功している。
したがって、第3回締約国会議を外交交渉として見るかぎり、米国の条件は決して「押し付けられた条件」とはいえないだろう。
そのうえで、日本の数値目標の上昇は会議前と比べて1%のみである。
その代わりに「排出権取引、共同実施を容認する」という妥協を獲得している。
したがって、もし「過去の実績を考慮しない数値目標は不平等」という主張を行うのであれは、これは第3回締約国会議の交渉過程ではなく、むしろそれ以前の国内での日本案の合意形成に不満を表明すべきことなのではなかろうか。
ここに興味深い世論調査結果がある。
2001年10月に政府が調査した「外交に関する世論調査」で、「日本が地球温暖化に対処するために京都議定書の締結に対してどのように対応すべきか」を聞いたところ、「米国の動向に関係なく、日本は他の諸国とともに率先して京都議定書を締結すべき」と答えた者の割合が49.8%、「米国の参加がなければ効果が上がらないので、米国の京都議定書締結を確保したうえで、日本も締結すべき」と答えた者の割合が26.4%、「経済的負担が大きいので日本は議定書を締結すべきではなく、自主的に温暖化対策に取り組むべき」と答えた者の割合が9,3%という結果が得られた。
この結果を見るかぎり、「京都議定書は不平等条約であり認められない」という主張は必ずしも圧倒的多数の世論とはいいがたいことになる。
次に「京都議定書は経済に深刻な悪影響を及ぼす」という点はどうだろう。
ここで立ち止まって考える必要があるのは、地球温暖化対策が経済活動にブレーキをかけるという悪影響と地球温暖化が経済活動に直接ダメージを与える悪影響のどちらを重視して考えるかである。
地球温暖化は業種ごとに様相は異なるとしても、確実に経済活動に悪影響を及ぼす。
例えば、農作物の収穫量が激減する、サンゴ礁が死滅して観光地としての価値を失う等がその例である。
「京都議定書は経済に深刻な悪影響を及ぼす」は、主として日本の国内産業の国際競争力が失われることを懸念していると思われるが、地球温暖化というより巨視的な観点に立つならば、「経済に深刻な悪影響を及ぼす」という主張は相対化せざるをえない。
そして、逆説的ではあるが京都議定書は、本来目指すべき温暖化防止の目標水準から見れば焼け石に水の効果しか持たない。
温暖化による社会不安を防ぐためには、将来にわたってより厳しい取組みを余儀なくされることは確実である。
だからこそ、いち早く温暖化のもたらす物理的な悪影響に適応能力を持った国が、経済活動においても比較優位を持つことになるのである。
また、日本の工場でのエネルギーに対する支出は、技術の進歩や省エネ努力によって長年にわたって低下し、いまでは、鉄鋼、セメント(窯業土石)、繊維などのエネルギーを大量に消費する産業でも、工場生産額の5〜7%程度であるといわれている。
仮に、新エネルギーの導入や環境税、排出権取引から生まれるエネルギーコストが増しても、国際競争力にほとんど影響しないという見方もある。
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